水商売の確定申告のやり方完全ガイド!経費の範囲からバレない対策まで徹底解説
キャバクラ、ホスト、クラブ、風俗店などで働く「水商売(ナイトワーク)」に従事されている方にとって、毎年2月から3月にかけて行われる確定申告は、大きな不安の種ではないでしょうか。「お店からお給料をもらっているけれど、自分で申告が必要なのかわからない」「会社や家族に副業がバレないか心配」「どこまでを経費にしていいのか判断できない」といった悩みは、多くの方が抱えています。
実は、水商売で働く方の多くは、税法上「個人事業主」として扱われるケースが一般的です。正しい知識を持たずに無申告のまま放置してしまうと、後から高額な追徴課税を求められたり、本来受け取れるはずの還付金を受け取り損ねたりする可能性があります。この記事では、水商売特有の確定申告の仕組みから、経費として認められる範囲、そしてスマートフォンを使って自宅で完結させる具体的な手順までを網羅的に解説します。税務署への不安を解消し、正しく納税して手取りを守るためのガイドとしてお役立てください。
水商売で確定申告が必要なケースとは?「しないとどうなる」も解説
水商売のキャストやスタッフとして働いている場合、「お店で働いているから会社員と同じようにお店がやってくれるはず」と思い込んでしまうのはリスクがあります。実際には、確定申告が必要なケースと不要なケースが明確に分かれており、ご自身の働き方や年収によって判断しなければなりません。ここでは、申告義務が発生する具体的な年収ライン(所得ライン)や、多くのキャストの方が混同しやすい雇用形態の違いについて解説します。知らなかったでは済まされない税金のルールを、まずはしっかりと把握しましょう。
確定申告が必要になる「年収の壁」と条件
副業で水商売をしている場合(20万円ルール)
昼間は会社員として働き、夜や休日に水商売をしている「副業」の方は、確定申告が必要かどうかの判断基準として「20万円ルール」を覚えておく必要があります。本業の会社で年末調整を受けている場合でも、副業による所得(収入から経費を引いた金額)が年間20万円を超える場合は、確定申告を行う義務があります。
ここで注意したいのは「収入」ではなく「所得」であるという点です。お店から受け取った報酬総額から、衣装代や交通費などの必要経費を差し引いた残りの金額が20万円を超えているかどうかが判断基準となります。ただし、20万円以下であっても住民税の申告は別途必要となるため、完全に手続きが不要になるわけではない点に注意が必要です。
水商売が本業・専業の場合(48万円ルール)
水商売一本で生活している専業の方、あるいは学生や主婦の方で他からの給与所得がない場合は、年間の合計所得金額が48万円を超える場合に確定申告が必要となります。これは、すべての人に適用される「基礎控除」という控除額が48万円(合計所得金額が2,400万円以下の場合)であるためです。
1月1日から12月31日までの1年間に稼いだ報酬から、経費を差し引いた金額が48万円以下であれば、課税所得がゼロとなるため確定申告は原則不要です。しかし、源泉徴収として報酬からあらかじめ税金(所得税)が引かれている場合は、確定申告をすることで払いすぎた税金が戻ってくる(還付される)可能性があります。義務はなくとも、申告したほうが得をするケースが多いのが特徴です。
お店で年末調整がされていない場合
一般的な会社員であれば、会社が年末調整を行い、1年間の税額を確定させてくれます。しかし、水商売のお店では、キャストに対して年末調整を行わないケースが多々あります。これは、お店側がキャストを「従業員(給与所得者)」ではなく「個人事業主(報酬支払先)」として扱っている場合が多いからです。
もし、給与明細等で所得税が引かれているにもかかわらず、年末調整が行われていない場合は、自分で確定申告を行わなければ税金の精算が完了しません。そのまま放置すると、払いすぎた税金を取り戻せないだけでなく、住民税の算定が正しく行われない等の不都合が生じるため、自身の状況をお店に確認することが重要です。
キャストは「給与所得」か「事業所得」かを確認せよ
雇用契約(給与)と業務委託(報酬)の違い
確定申告を行う上で最も重要なのが、自分の収入が「給与所得」なのか、それとも「事業所得(または雑所得)」なのかを正しく区分することです。これによって、利用できる控除や経費の考え方が大きく異なります。
「給与所得」は、お店と雇用契約を結び、指揮命令下で働く場合の収入です。一方、「事業所得」は、お店と業務委託契約を結び、独立した事業主として働く場合の収入です。水商売のキャストの多くは、形式上は業務委託契約(報酬)となっていることが一般的です。報酬扱いの場合は、給与所得控除が受けられない代わりに、実額で経費を計上することが認められます。ご自身がどちらの契約形態になっているか、契約書や店長への確認を行いましょう。
源泉徴収票と支払調書の見分け方
所得の区分を見分けるための書類として、「源泉徴収票」と「支払調書」があります。これらは確定申告の際に必須となる書類ですが、それぞれ意味合いが異なります。
「源泉徴収票」が発行される場合は、給与所得として扱われている可能性が高いです。ここには支払金額や源泉徴収税額が記載されています。一方、「支払調書」が発行される場合は、報酬(事業所得や雑所得)として扱われています。お店によっては書類を発行してくれない場合もありますが、その際は給与明細や報酬明細を1年分集計し、自分で金額を把握する必要があります。書類の名称だけでなく、中身の項目を確認し、どちらの区分で申告すべきかを判断してください。
確定申告をしないとどうなる?無申告のリスク
延滞税・無申告加算税のペナルティ
「面倒だから」「バレないだろう」と考えて確定申告を行わなかった場合、税務署から指摘を受けると本来納めるべき税金に加えて、ペナルティとしての税金が課されます。これを「附帯税」と呼びます。
具体的には、申告期限を過ぎてから申告した場合に課される「無申告加算税」や、納付が遅れた日数分だけ利息のように発生する「延滞税」があります。特に、悪質(所得隠しなど)と判断された場合には「重加算税」という非常に重い税率が適用されることもあります。これらのペナルティは、本来であれば支払う必要のない無駄な出費です。期限内に正しく申告することが、結果として最も経済的なリスク回避策となります。
税務署は水商売の無申告に目を光らせている
近年、税務署は現金商売や副業を行う個人への監視を強化しており、水商売も重点的な調査対象の一つとされています。特にマイナンバー制度の導入や、税務署の権限強化により、個人の資金の流れは把握されやすくなっています。
税務署はお店側に対して税務調査を行う際、同時に「誰にいくら報酬を支払ったか」という記録もチェックします。お店側が経費として計上しているキャストへの報酬と、キャスト個人の申告状況を照らし合わせれば、無申告であることはすぐに判明してしまいます。「自分のような少額納税者には来ないだろう」という油断は禁物です。数年分まとめて調査されるケースも珍しくないため、毎年の申告を怠らないようにしましょう。
税金まわりを無理なく整えるサポート
売上が上がるほど「税金どうしよう…」は避けられません。

自分一人では判断しきれないこと、実はとても多いんです。
ゼイム(zeimu) なら、 領収書整理から 申告・節税まで“全部まるっと”お任せOK。
LINEで気軽にご相談いただけます。
初めての方でも、丁寧にサポートしますのでご安心ください。

水商売の確定申告で「経費」にできるもの・できないもの一覧
水商売で個人事業主(報酬)として確定申告を行う場合、最大のメリットであり節税ポイントとなるのが「経費」の計上です。収入から必要経費を差し引くことで課税される所得額を減らし、結果として税金を安く抑えることができます。しかし、何でも経費にできるわけではありません。重要なのは「売上を得るために直接必要だった費用」であると客観的に説明できるかどうかです。ここでは、水商売において経費として認められやすいものと、認められないものの境界線を解説します。
水商売特有!経費として認められやすい支出
衣装代・ドレス代・着物代
お店で着用するためのドレス、着物、スーツ、コスプレ衣装などは、業務に不可欠なものとして経費に認められます。これには、衣装そのものの購入費だけでなく、貸衣装代(レンタル料)やクリーニング代、補正費用なども含まれます。
ただし、プライベートでも着用できるような一般的なワンピースや私服などは、税務署から「家事関連費(私用)」とみなされ、否認されるリスクがあります。経費として計上する場合は、「お店でのみ着用していること」を証明できるよう、着用時の写真やお店の更衣室に保管している事実などの根拠を持っておくと安心です。高額な着物などは減価償却が必要になる場合もあるため注意しましょう。
美容室代・ヘアセット代・ネイル代
出勤前のヘアセット(ヘアメイク)代は、水商売において必須の準備費用であるため、経費として認められる可能性が高い項目です。毎日のセット代はもちろん、仕事のために必要なヘアカラーやカットも経費になり得ます。
ネイル代についても、接客業としての身だしなみの一環として認められる傾向にありますが、あまりに華美で個人的な趣味の範囲と判断されると難しい場合もあります。あくまで「仕事のために行った」という建付けが必要です。レシートや領収書には具体的な施術内容がわかるようにしておき、出勤日と施術日がリンクしていると、より説得力が増します。
化粧品代(仕事用と説明できるもの)
化粧品代は判断が分かれる項目の一つですが、水商売では「舞台用メイク」のように、仕事専用で使用する化粧品であれば経費として認められます。店内は照明が暗いため、普段よりも濃いメイクが必要になることが多く、そのために購入した消耗品は経費計上が可能です。
一方で、基礎化粧品(化粧水や乳液など)や、休日のプライベートメイクでも使用するリップなどは、家事費とみなされやすく、全額を経費にするのは難しい傾向にあります。仕事専用のポーチを分けて管理するなど、公私混同していないことを示せるように工夫しましょう。
お客様へのプレゼント代・お中元・お歳暮
お客様の誕生日プレゼント、バレンタインのチョコレート、お中元やお歳暮などの贈答品費は、「接待交際費」として経費計上が可能です。これは売上の維持や向上のために必要な支出として認められやすいためです。
ただし、誰に何を渡したかが不明確な領収書だけでは、税務調査で疑われる可能性があります。領収書の裏面や帳簿の摘要欄に、「〇〇様(顧客名)への誕生日プレゼント代」といった具体的なメモを残しておくことが重要です。高額すぎるプレゼントは贈与税の問題などが絡む可能性もあるため、常識的な範囲内に留めるのが無難です。
タクシー代・深夜帰宅の交通費
水商売は深夜に業務が終了することが多く、電車やバスなどの公共交通機関が動いていない時間帯の帰宅にはタクシー利用が不可欠です。このような業務遂行上必要なタクシー代は「旅費交通費」として経費に計上できます。
また、同伴出勤の際の移動費や、お客様を送り届けるための交通費も経費になります。大切なのは、日付と行先、目的を明確にしておくことです。プライベートで友人と遊んだ帰りのタクシー代などは当然経費にはなりませんので、仕事で利用した領収書とプライベートの領収書はしっかりと分けて管理してください。
意外と見落としがちな経費項目
携帯電話料金・通信費(家事按分の考え方)
お客様との連絡(LINEや電話)や、お店のスケジュール管理、SNSでの集客活動にスマートフォンを使用している場合、その通信費や機種代金の一部を経費にできます。ただし、1台のスマホをプライベートと仕事の両方で使っている場合は、「家事按分(かじあんぶん)」という計算が必要です。
家事按分とは、使用頻度や時間などに基づいて、仕事で使用している割合だけを経費にする方法です。例えば、使用時間の50%が仕事用であれば、月額料金の50%を経費計上します。100%経費にするのは税務署に指摘されるリスクが高いため、実態に即した合理的な割合(3割〜5割程度など)を設定しましょう。
カフェ代・打ち合わせ等の飲食費
お客様との同伴前の待ち合わせや、店長・黒服との打ち合わせでカフェを利用した場合の飲食代は「会議費」や「接待交際費」として経費になります。また、仕事終わりに反省会としてスタッフと食事に行った場合なども対象になり得ます。
この場合も、「誰と」「何のために」利用したかが重要です。一人でランチを食べた代金や、仕事に関係のない友人とのカフェ代は経費にはなりません。打ち合わせの記録や同伴のスケジュールと照らし合わせられるようにしておくと、証拠として強力です。
家賃・光熱費(自宅で事務作業をする場合)
自宅でメイクの練習をしたり、顧客管理や経理事務を行ったりするスペースがある場合、家賃や光熱費の一部を経費として家事按分できる可能性があります。ただし、水商売の場合は主な勤務場所が「お店」であるため、フリーランスのライターやプログラマーに比べると認められる割合は低くなる傾向があります。
例えば、部屋の面積の20%を衣装保管や事務スペースとして使っているなら、家賃の20%を経費にする、といった考え方です。あまりに高い割合(70%など)を設定すると否認される可能性が高いため、慎重な設定が求められます。
経費として認められないNGな支出
プライベートな食事や旅行
当然のことながら、仕事とは無関係のプライベートな食事代、友人との旅行費、個人的な趣味の支出は経費として認められません。これらを無理やり経費に計上することは「脱税」行為にあたります。
「お客様と旅行に行った」という場合でも、それが単なる個人的な付き合いなのか、営業活動の一環なのかの線引きは非常にシビアに見られます。同伴旅行である場合は、実態を証明できる証拠(やり取りの履歴や売上への貢献度など)が必要となりますが、基本的にはプライベート要素が強い支出は除外すべきです。
医療費(医療費控除との違い)
風邪を引いた際の治療費や薬代、定期検診の費用などは、事業の経費としては認められません。これらは個人の健康管理に関する支出であり、事業を行うための直接的な費用ではないからです。
ただし、1年間の医療費が一定額(通常10万円)を超えた場合は、「医療費控除」として所得控除を受けることができます。これは経費とは別の枠組みで税金を減らす仕組みですので、領収書は捨てずに保管し、確定申告書の該当欄に記入して申請しましょう。
整形手術や過度な美容代
「綺麗になることが仕事」とはいえ、整形手術代や高額なエステ、ダイエットサプリ、スポーツジムの会費などは、原則として経費には認められません。これらは個人的な効果が永続するものであり、仕事以外のプライベートにも影響を及ぼす(便益がある)と考えられるためです。
税務調査において、これらが経費として認められるケースは極めて稀です。ただし、モデルや芸能関係のように特殊な事情がある場合は例外となることもありますが、一般的な水商売の申告においてはNG項目と考えておくのが安全です。
確定申告の準備から提出までの具体的なやり方5ステップ
実際に確定申告を行おうと思っても、何から手をつければ良いのかわからないという方も多いでしょう。現在はスマホとマイナンバーカードがあれば、税務署に行かずに自宅で手続きを完了させることが可能です。ここでは、初心者の方でもスムーズに進められるよう、準備から提出までの流れを5つのステップに分けて解説します。まずは手元に必要な書類を集めるところから始めましょう。
STEP1:必要書類と領収書の収集・整理
支払調書または源泉徴収票の確保
まず最初に、1月1日から12月31日までの1年間の収入を証明する書類を確保します。お店から発行される「支払調書」または「源泉徴収票」がこれにあたります。もしお店がこれらを発行してくれない場合は、毎月の給与明細(報酬明細)をすべて手元に用意し、さらに通帳の入金記録などを確認して、1年間の総収入額を自分で集計する必要があります。
複数の店舗で働いている場合や、昼職との掛け持ちをしている場合は、すべての勤務先からの書類が必要です。紛失している場合は、早急にお店や会社に再発行を依頼しましょう。
領収書・レシートの月別仕分け方法
次に、経費の集計を行います。1年分の領収書やレシートが財布や箱の中に溜まっている場合は、これらを月別に仕分ける作業から始めます。100円ショップで売っている12分割のファイルや封筒などを使い、「1月分」「2月分」とざっくり分けるだけでも後の作業が楽になります。
領収書がない経費(電車代や慶弔費など)については、日付、支払先、金額、内容をメモした「出金伝票」を作成しておきます。クレジットカードの利用明細も、経費の支払いを証明する重要な資料となるため、紙で出力するかデータを保存しておきましょう。
STEP2:白色申告か青色申告かを選択する
初心者向けの白色申告(メリット・デメリット)
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。白色申告は、事前の届出が不要で、帳簿付けが比較的簡易であるため、初めて確定申告をする方や、経理に時間をかけたくない方に向いています。
メリットは手続きのシンプルさですが、デメリットとして「特別控除」がない点が挙げられます。そのため、所得が多い場合は税金が高くなりがちです。まずは申告のハードルを下げたいという場合は白色申告からスタートするのも一つの手です。
節税効果が高い青色申告(65万円控除の魅力)
青色申告は、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出し、複式簿記という正規のルールで帳簿をつける必要があります。少し手間はかかりますが、最大のメリットは「最大65万円の青色申告特別控除」が受けられることです。
所得から65万円を差し引けるため、税金が数万円から十数万円安くなることもあります。また、赤字を翌年以降に繰り越せるなどの特典もあります。最近は便利な会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても青色申告が可能になっているため、節税を重視するなら青色申告への挑戦をおすすめします。
STEP3:会計ソフトまたはエクセルで帳簿を作成
水商売におすすめのクラウド会計ソフト
帳簿作成には、「freee(フリー)」や「マネーフォワード クラウド」、「弥生会計 オンライン」などのクラウド会計ソフトの利用が推奨されます。これらは銀行口座やクレジットカードと連携して明細を自動で取り込んでくれる機能があり、手入力の手間を大幅に削減できます。
スマホアプリからレシートを撮影するだけで、日付や金額を読み取ってくれる機能も搭載されていることが多く、忙しい水商売の方に最適です。月額料金はかかりますが、節税効果と作業時間の短縮を考えれば、十分に元が取れる投資と言えます。
勘定科目の選び方(消耗品費、交際費など)
帳簿をつける際、支出をどのカテゴリーに分類するかを「勘定科目(かんじょうかもく)」と呼びます。水商売でよく使う科目としては、ドレスや化粧品は「消耗品費」、お客様へのプレゼントや飲食代は「接待交際費」、タクシー代は「旅費交通費」などが挙げられます。
厳密な正解があるわけではありませんが、重要なのは「継続性」です。一度ドレスを「消耗品費」としたなら、次回からも同じ科目で処理し続けることで、帳簿の一貫性が保たれます。わからない場合は「雑費」を使いますが、多用しすぎると使途不明金として疑われる原因になるため注意しましょう。
STEP4:確定申告書を作成する
収入金額と所得金額の計算
帳簿の整理が終わったら、いよいよ確定申告書の作成です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」というWEBサイトを利用すれば、画面の案内に従って数字を入力するだけで自動計算してくれます。
まずは「収入金額(売上)」を入力し、そこから「必要経費」の合計額を差し引いて「所得金額」を算出します。源泉徴収されている税額がある場合は、その金額も忘れずに入力してください。ここを入力し忘れると、すでに払った税金が考慮されず、二重払いになってしまう恐れがあります。
各種控除(基礎控除・生命保険料控除等)の記入
次に、所得から差し引くことができる「所得控除」を入力します。誰でも受けられる「基礎控除(48万円)」は自動計算されることが多いですが、自分で支払っている国民健康保険や国民年金の掛金は「社会保険料控除」として全額控除の対象になります。
また、生命保険に加入している場合は「生命保険料控除」、iDeCoやふるさと納税を行っている場合もそれぞれの控除欄に入力します。控除もれがあると税金が高くなってしまうため、控除証明書を手元に置いて漏れなく入力しましょう。
STEP5:税務署へ提出・納税(または還付)
スマホで完結!e-Tax(電子申告)のやり方
申告書の作成が完了したら、税務署へ提出します。現在はマイナンバーカードとスマートフォンを使って送信する「e-Tax(電子申告)」が最も便利です。24時間いつでも提出可能で、添付書類の郵送も一部省略できます。
マイナンバーカードがない場合は、作成した申告書を印刷して、管轄の税務署へ郵送するか、直接持ち込んで提出することも可能です。ただし、3月中旬の税務署は非常に混雑するため、郵送やe-Taxの利用が推奨されます。
還付金が振り込まれる時期と確認方法
計算の結果、納めすぎた税金が戻ってくる「還付申告」となった場合、申告書に記載した銀行口座に後日振り込まれます。e-Taxで申告した場合は比較的早く、2〜3週間程度で振り込まれることが多いですが、紙での申告の場合は1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかることもあります。
逆に、追加で納税が必要になった場合は、3月15日までに金融機関やコンビニ、クレジットカード等で納税を済ませる必要があります。振替納税の手続きをしておけば、4月下旬頃に口座から自動引き落としされるため便利です。
\お金の管理で安心して働ける毎日を/
水商売の確定申告でよくあるトラブルと対処法
確定申告の手順は理解できても、「会社にバレるのではないか」「領収書をなくしてしまった」といった個別の悩みやトラブルは尽きません。特に、インボイス制度の導入など新しいルールへの対応も求められています。この章では、水商売に従事する方が直面しやすいトラブルへの具体的な対処法と、周囲に知られずに申告するための重要なポイントを解説します。
会社や親にバレずに確定申告する方法
住民税の徴収方法を「普通徴収」にする重要性
会社員としての本業があり、副業で水商売をしている場合、会社にバレる最大の原因は「住民税」です。住民税は前年の所得に応じて決定され、通常は会社の給与から天引き(特別徴収)されます。副業分の所得が加算されて住民税額が増えると、会社の経理担当者に「給与に対して税金が高い」と気づかれてしまうのです。
これを防ぐためには、確定申告書の第二表にある「住民税・事業税に関する事項」の欄で、住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れることが極めて重要です。これにより、副業分の住民税通知は自宅に届くようになり、会社には本業分の通知しか届かなくなります。ただし、自治体によっては普通徴収を認めないケースもあるため、不安な場合はお住まいの市区町村役場に事前に確認することをおすすめします。
扶養から外れるラインの再確認
親や夫の扶養に入っている場合、年間の合計所得金額が48万円(給与収入のみなら103万円)を超えると、扶養から外れてしまう可能性があります。扶養から外れると、親や夫の税金が増えるだけでなく、自分自身で健康保険料や年金を支払う必要が出てくるため、世帯全体の手取りが大きく減るリスクがあります。
特に水商売は「給与」ではなく「報酬」の場合が多いため、「48万円」のラインを意識する必要があります。経費を正しく計上して所得を抑えることが対策になりますが、無理な経費計上は脱税になるため注意が必要です。稼ぎすぎた場合は、正直に家族に相談し、扶養を外れる手続きをするのが最も安全な策と言えます。
領収書がない!紛失した場合のリカバリー策
クレジットカード明細や出金伝票の活用
確定申告直前になって「領収書が見当たらない」と焦ることはよくあります。しかし、領収書がないからといって経費計上を諦める必要はありません。クレジットカードの利用明細書や、銀行の通帳記録、電子マネーの履歴なども、支払いの事実を証明する証拠となります。
また、現金払いでレシートを貰い忘れた場合や、自動販売機での購入、割り勘での支払いなどは、「出金伝票(しゅっきんでんぴょう)」という書類を自分で作成することで経費として認められます。100円ショップや文具店で購入できるほか、エクセル等で自作しても構いません。「日付」「支払先」「金額」「内容」を正確に記録しておけば、正規の領収書に代わる証拠として機能します。
領収書がもらえない場合の記録方法
お祝い金(チップ)を渡した場合や、冠婚葬祭のご祝儀など、そもそも領収書が発行されない支出もあります。このような場合も、出金伝票の活用が有効です。ただし、架空の計上を疑われやすいため、招待状や当日の写真などを併せて保管しておくと信憑性が高まります。
領収書の紛失や未受領があっても、事実に基づいて詳細な記録を残す姿勢が大切です。ただし、あまりにも出金伝票ばかりが多いと税務調査で指摘される可能性があるため、基本的には領収書をもらう習慣をつけることが第一です。
水商売とインボイス制度の関係
お店からインボイス登録を求められたら?
2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、水商売のキャストにも大きな影響を与えています。お店側から「インボイス登録をしてほしい(課税事業者になってほしい)」と求められるケースが増えています。登録すると、消費税の納税義務が発生するため、実質的な手取りが減ることになります。
登録するかどうかはあくまで個人の自由ですが、断ると消費税分が報酬から減額されたり、契約を更新してもらえなかったりするリスクもゼロではありません。お店側の方針と、自分の売上規模を天秤にかけて判断する必要があります。年間売上が1,000万円以下であれば、免税事業者のままでいるメリットも大きいため、安易に登録せず慎重に検討しましょう。
消費税の納税義務と簡易課税制度
インボイス登録をして課税事業者になった場合、消費税を計算して納める必要があります。しかし、小規模な事業者には事務負担を軽減する「2割特例(期間限定)」や「簡易課税制度」といった措置が用意されています。
水商売(サービス業)の場合、簡易課税制度を選択すれば、預かった消費税の50%をみなし仕入率として控除できるため、実額計算よりも納税額が安くなるケースがあります。インボイス制度への対応は複雑なため、お店から登録を求められた際は、税理士や税務署の相談窓口でシミュレーションを行ってから回答することをおすすめします。
FAQ(水商売の確定申告に関するよくある質問)
最後に、水商売で働く方から寄せられることの多い、確定申告に関する細かな疑問について、Q&A形式でお答えします。疑問を解消して、安心して申告作業に取り組みましょう。
Q. 3月15日の期限を過ぎてしまっても申告できますか?
A. はい、期限後でも申告(期限後申告)は可能です。ただし、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生する可能性があります。また、青色申告の65万円控除が適用されなくなる(10万円控除になる)などのデメリットもあります。とはいえ、放置すればするほどペナルティは重くなるため、期限を過ぎてしまった場合でも、気づいた時点で一日も早く申告を行うことが最善の対処法です。還付申告の場合は、5年間さかのぼって申告することができます。
Q. マイナンバーカードがないと確定申告できませんか?
A. マイナンバーカードがなくても確定申告は可能です。その場合は、e-Taxの「ID・パスワード方式」を利用するか(事前に税務署で発行が必要)、作成した申告書を印刷して郵送または持参する方法になります。ただし、マイナンバー(個人番号)自体の記入は必要ですので、通知カードや住民票などで自分の番号を確認しておく必要があります。今後も毎年申告を行うなら、利便性の高いマイナンバーカードの取得をおすすめします。
Q. 税理士に依頼する場合の費用相場はどれくらいですか?
A. 個人の確定申告を税理士に依頼する場合、売上規模や作業量にもよりますが、水商売のキャストの方であれば5万円〜15万円程度が一般的な相場です。記帳代行(領収書の整理から丸投げ)を含めると費用は高くなります。費用はかかりますが、プロに任せることで正確な申告ができ、節税のアドバイスももらえるため、売上が高く経費処理が複雑な方は依頼するメリットが大きいでしょう。
Q. 昼職(会社員)と夜職を掛け持ちしている場合の注意点は?
A. 本業の会社で年末調整を受けていても、副業の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。この際、本業の源泉徴収票のデータも合算して申告書を作成する必要があります。注意点は、先述した「住民税の普通徴収」を選択することです。また、ふるさと納税や医療費控除を行う場合も、確定申告ですべてまとめて計算することになります。
Q. お店から手渡しで給料をもらっている場合も申告は必要ですか?
A. 手渡しであっても、銀行振込であっても、収入を得ている事実に変わりはないため、申告要件(所得48万円超など)を満たせば申告は必要です。「手渡しなら税務署にバレない」というのは間違いです。お店側は経費として支払いを記録しており、税務署はその記録を確認できます。手渡しの場合、明細を紛失しやすいので、受領時に必ず金額と日付を記録する習慣をつけましょう。
税金まわりを無理なく整えるサポート
確定申告が不安。 経費ってどれが落とせるの? 税務署から通知がきたらどうしよう…
夜の仕事には、夜の仕事ならではの税金の悩みがあります。

ゼイム(zeimu)は “キャバ嬢・ホスト・夜職向け” だから、説明も対応も全部わかりやすい。
LINE相談・ 月額顧問・ 節税サポート まで、状況に合わせて選べます。

無理なく、安心して、 お金を手元に残せる働き方 を一緒につくりましょう。
まとめ
本記事では、水商売に従事する方のための確定申告ガイドとして、申告が必要な基準から経費の範囲、具体的な手続きの方法、そしてバレないための対策までを解説しました。確定申告は「難しそう」「怖い」というイメージを持たれがちですが、仕組みを理解し、日頃から領収書を整理しておけば、決して恐れるものではありません。
むしろ、正しく経費を計上して申告を行うことは、無駄な税金を払わないための最大の防御策であり、払いすぎた税金が戻ってくるチャンスでもあります。また、きちんと納税している実績は、将来的に家を借りたりローンを組んだりする際の社会的信用にもつながります。
「自分は関係ない」と放置せず、今年の申告から一歩を踏み出してみてください。最近では便利なアプリやツールも充実しています。まずは手元の領収書を集め、自分の所得状況を把握することから始めてみましょう。正しい知識と申告が、あなたの大切な収入と生活を守ります。
\お金の管理で安心して働ける毎日を/

記事監修者
株式会社グロウ・コンサルタント/古川一輝税理士事務所
代表税理士:古川一輝
夜職や店舗ビジネスの顧客からの相談を多く受け、確定申告・収入管理など“業種特有の悩み”に実務経験を踏まえて対応している。
飲食・美容・医療のバックオフィス業務も一括で支援し、長く選ばれる税務パートナーとして活動している。




